SPR分子間相互作用解析装置 (BioNavis)

SPR-Naviはフィンランド国立研究所VTTで表面プラズモン共鳴を20年以上研究してきたDr.Janusz SadowskiとMP-SPRによる分子間相互作用のパイオニアであるBiacore創始者のDr.Ulf Jonssonのコラボレーションにより開発された、 使いやすく高精度な研究用途向けのMP-SPR装置です。

原 理

表面プラズモン共鳴とは

金属中の自由電子は自由に動き回りますが、電子はお互いに反発し合うので、密に集中している事はできません。ある固定した位置に視点を置くと、その密度が時間的に振動する波のような状態に見え、この波はプラズマ波と呼ばれています。
表面プラズモンは金属界面における電荷密度の集団的振動です。

 

高感度センサー

表面プラズモンを共鳴させ、非常に高感度なセンサーとして応用する装置がSPRです。ガラスの基板に金を蒸着し、波長760nmの偏光をプリズムで全反射させて基板に照射する事によって表面プラズモンを共鳴させます。反射光の強度を固定したダイオードでモニターし、共鳴角を自動計算します。
SPR角度の0.1度の変化を1000ユニットとした場合、 1000ユニットはタンパク質の約1ng/mm2の質量変化に相当する事が確認されています。


【動画】Surface Plasmon Resonance – Comparison of MP-SPR and traditional SPR

 

応用(分子間相互作用の解析)

基板の金表面にタンパク質などのリガントを固定してMP-SPRにセットし、フローセルを純水やバッファーで満たします。アナライトをインジェクトすると特異的結合反応に伴いシグナルが増加します。次にバッファーを流すと一旦リガントに結合したアナライトの解離反応が観察されます。
最後にpHや塩濃度を変えたり界面活性剤などを添加する事により、残っているアナライトをリガントから溶出し、センサー表面を再生します。
結合、解離のモニタリング及び親和定数KA、解離定数KD、結合速度定数Ka、解離速度定数Kdを計算します(SPR-Naviでは気相でのガス分子の吸着の測定も可能です)。

製品特徴

■広い測定レンジ

気相での共鳴(赤)と液相での共鳴角(青)

気相での共鳴(赤)と液相での共鳴角(青)

広い測定レンジ40 ~ 75°(屈折率1.0 ~ 1.45)により、液相だけではなく気相にも対応でき、ガス分子の吸着などの測定も可能です(気相用フローセルオプション)。もっと高い屈折率対応を御希望の場合はカスタムメイドで対応いたします。

 

 

 

■MP-SPRカーブの連続スキャニング

強度変化と角度変化両方の測定が可能です。
又、MP-SPRカーブの連続スキャニングが可能です。
Winspallにデータをインポートし膜厚を計算する事ができます。

 

 

 

■簡単な基板交換

基板の脱着を簡単に行う事ができる構造に設計されています。

フローセルの交換を簡単に行う事ができ、フローセルがつまっても復旧が容易で、
エタノールで洗浄する事が可能です。

■サンプルインジェクション

マイクロシリンジでサンプルを12ポートバルブのローダーにインジェクションします。
バルブを切り替えるとサンプルがフローセルに流れて行きます。

■サンプルエリアの温調

試料が接触するエリア(フローセルやループ含む)の温調が可能です。幅広い温度調節範囲によりサンプル容器周辺の温調もオプションで可能です。

■2チャンネル測定

1つのチャンネルをリファレンスとして使用する事により高感度測定が可能です。

■高感度測定

レゾリューションが3*10-6 of RIで、3pg/mm2のタンパク質の質量変化に対応します。

 

モデル  /  仕様

MP SPR-NAVI 機種別比較表
 外観イメージ MP SPR-Navi 
420A
MP SPR-Navi
220A
MP SPR-Navi
210A
MP SPR-Navi
200
機種名およびロゴ
特徴 4チャンネル
オートサンプラー付
小型オートサンプラー付 オートサンプラー付 マニュアル インシ゛ェクションタイプ
チャンネル数 4 2 2 2

主な送液処理機能と仕様

モデル MP-SPR-Navi 420A MP-SPR-Navi 220A MP-SPR-Navi 210A MP-SPR-Navi 200
オートサンプラー 96穴ウェルプレートまたはバイアル6本まで設置可能 96穴ウェルプレートまたはバイアル6本まで設置可能 バイアル6本まで設置可能 ×
連続自動試験適性 ×
パーシャルループインジェクト試験への適性(インジェクトサンプルの少量化)
サンプル最大容量
標準/パーシャルインジェクト試験
300uL / 80 µL 300uL / 80 µL 350uL / 100 µL 500uL / (100 µL)
最低サンプル
インジェクト量
50 µL 50 µL 50 µL 50 µL
バッファー液の
脱気処理
(〇)
有機溶剤系サンプル
への適合性
(〇)

アプリケーション別適性比較表①:ライフサイエンス

モデル MP-SPR-Navi 420A MP-SPR-Navi 220A MP-SPR-Navi 210A MP-SPR-Navi 200
感度
カイネティクス及びアフィニティの評価
“PureKinetics”TM

(バルク効果を除いた純粋カイネティクスの観察と評価)

濃度解析
熱力学的解析
連続カイネティクス解析(KineticsTitration) (△) × ×
生体細胞測定
センサースライド

アプリケーション別適性比較表②: 物性科学(マテリアルサイエンス)

モデル MP-SPR-Navi 420A MP-SPR-Navi 220A MP-SPR-Navi 210A MP-SPR-Navi 200
感度
物質間相互作用の解析
波長の追加
(複数波長への対応)
× () () ()
乾燥状態(dry state)での測定
気体または蒸気分子の相互作用測定 () () () ()
電気化学測定 () () () ()
蛍光測定 × () () ()
センサースライド

ソフトウェア

モデル MP-SPR-Navi 420A MP-SPR-Navi 220A MP-SPR-Navi 210A MP-SPR-Navi 200
TraceDrawer

アフィニティ・カイネティクス解析ソフトウェア

() ()
LayerSolver
膜厚・屈折率測定(*)
() () ()
Control & Data Viewer
(基本操作用ソフトウェア)

主な仕様

モデル MP-SPR-Navi 420A MP-SPR-Navi 220A MP-SPR-Navi 210A MP-SPR-Navi 200
測定原理 表面プラズモン共鳴(SPR)現象の応用
測定方式 ゴニオメーターによる回転式レーザー/ディテクター
測定レンジ 共鳴角度40 ~ 75°(屈折率1.0 ~ 1.45)
角度分解能 0.001°
光源 半導体レーザー、670nm(他の波長にもオプションで応じます)
感度 1μRIU、1*10-6 of RI (1pg/mm2 のタンパク質質量変化に対応)
フローセル PDMS製、 脱着式、 2流路(独立した流路、 センシングポイント2点)、 高さ100μm、 容量1μl
有機溶媒用PEEK製、 ESPR用フローセル、 ガス用フローセルの製造もカスタムメイドで可能
金蒸着ガラス基板寸法 12 × 20mm、厚さ0.5mm
ポンプ 4チャンネル用
シリンジポンプ
2チャンネル用
シリンジポンプ
2チャンネル用
シリンジポンプ
2チャンネル用
ペリスタルティックポンプ
温度制御 ペルチエによりフローセル部、ブリズム部を温調、室温に依存し室温25℃の場合、
Min. 25 – 7 = 18C
Max. 25 + 15 = 40C
動作環境 OS:Windows XP以上(供給範囲にPCは含まれておりません。)
本製品には専用ソフトウェアが含まれる。
電 源 100/240V、50/60Hz、100~170W
寸 法 62 × 41 × 47 cm 62 × 41 × 47 cm 40 × 46 × 34 cm 38 × 32 × 31 cm
(高さx 幅x 奥行き)
重 量 50 kg 50 kg 15 kg  10 kg

オプション

モデル MP-SPR-Navi 420A MP-SPR-Navi 220A MP-SPR-Navi 210A MP-SPR-Navi 200
2波長 オプション オプション オプション オプション
脱気装置 オプション
解析ソフトTraceDrawer
カイネティクス、アフィニティー
オプション オプション オプション オプション

※外観及び仕様は改良のため、お断り無く変更する事がございますので予めご了承下さい。

 

アプリケーション

■プロテオミクス

・たんぱく質間の相互作用
・抗原抗体反応
・DNAハイブリダイゼーション

■医薬

・阻害剤特異性のスクリーニング
・結合パートナーの探索

■センサーの開発

・ガス分子の吸着
・Pd基板による水素の吸着(プロトニクス、水素吸蔵合金の評価等)
・食品成分、環境汚染物質などの検知・定量

LB膜累積後の膜厚測定

LB膜(Langmuir-Blodgett)は、光・電子材料、バイオ素子など様々な応用分野への展開が期待されています。
LB膜の累積による膜厚変化をMP-SPRで容易に確認する事ができます。

 

 

 

フルアプリケーションノートPDFダウンロード
ステアリン酸カドミウムによるLB膜累積(1層、3層、5層)に応じて変化するMP-SPR共鳴角

 

アルブミンの吸着

バイオマテリアルの開発には任意の材料表面に対するタンパク質の吸着の観察が典型的に行われます。アルカンチオールを吸着させ疎水性にした金表面に対する0.1mg/mLのウシ血清アルブミン(BSA)の吸着量と、無垢の親水性の金表面に対するBSAの吸着量の違いを、MP-SPRで容易に比較する事ができます。

 

 

 

フルアプリケーションノートPDFダウンロード
親水性金表面と、疎水性金表面に対するBSAの吸着による、SPRシグナルの違い

アクセサリー

■MP-SPRセンサースライド(12×20mm)

金蒸着ガラス基板は、ガラス基板にAuコーティングが標準ですが、ご希望に応じてAu以外の金属のコーティングもいたします。

 

■MP-SPR基板ホルダー

基板ホルダーに金蒸着ガラス基板をセットし装置のフローセルに挿入します。簡単に基板交換が行える設計になっています。

 

 

■イモビライザー

金表面を事前に表面修飾する為のフローセル付きの基板固定ジグです。
イモビライザーに金蒸着ガラス基板をセットし、センサーエリアを所望の試料Aで表面修飾します。固定化後金蒸着ガラス基板を取り出し、MP-SPRにセットし、試料Bを投与する事により、AとBの分子間相互作用を観察する事ができます。

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