パーティクルカウンターとサンプルスキャナーの違い
半導体製造工場のパーティクル(微粒子)管理として手軽なものとしては、パーティクルカウンターと弊社の提唱するFastmicro社製サンプルスキャナーがあります。
両者共々パーティクル測定のために必要なものですが、捕捉しカウントできるパーティクルの種類(状態)が異なります。
ここではサンプルスキャナーについてあまりご存知無い方にも、パーティクルカウンターとの比較を行ないながら詳しく解説していきます。
パーティクルカウンター(微粒子計測器)
パーティクルカウンターとは、空気中や液体中に存在する微粒子(パーティクル)の数を測定する計測器です。特に補足が無い場合、気中パーティクルカウンターを指します。
ここでは、気中パーティクルカウンターについて解説します。
気中パーティクルカウンター
パーティクルカウンターは概ね0.1㎛~5㎛程度のパーティクルをカウントします。測定方法・原理としては、空気中にレーザー光を照射し、浮遊しているパーティクルに衝突することで生じる散乱光を観測し、個数や大きさを割り出します。
パーティクルカウンターの種類としては、据え置き型のもの、ハンドヘルド型のもの、監視用のセンサータイプのものがあります。
パーティクルカウンターによる測定方法
パーティクルカウンターでの測定を行なう際、正確な測定を行なうために検査前・又は定期的にゼロカウントテストを行ないます。
センサー部に粒子が滞留しており測定ノイズが生じているケースや、異常が生じているケースがあるため正確な測定のためには重要です。
フィルターを取付けセンサー部を清浄な状態とし、粒子数がゼロと表示されるべき状況で、正しくゼロと表示されていなければ、異常があることがわかります。
測定器が正しく動作することを確認した上で、周辺空気の吸引・測定を数回繰り返し、値を確認します。
気中パーティクルカウンターで測定できる粒子と測定できない粒子
気中パーティクルカウンターでの測定では、その名の通り気中(浮遊塵)を計測するため、浮遊していない状態のパーティクルは測定することができません。
クリーンルーム内では帯電の対策等を行なわれてはいますが、帯電(静電気)による表面付着や、重力による落下、表面・壁面への引っかかり等で、表面付着するケースが多くあります。
しかしクリーンルーム内は常時圧力制御により空気が循環している(=気流がある)ため、付着しているパーティクルが再度舞い上がり、ウェーハ表面への落下、装置の処理への悪影響を生じさせるケースがあり、この付着パーティクルの低減もまた重要です。
その付着パーティクルの測定が可能なツールがサンプルスキャナーです。
サンプルスキャナー(表面微粒子計測器)
サンプルスキャナーとは、クリーンルーム内の様々な固体表面に付着したパーティクルの数を測定する計測器です。ASML社のパーティクル低減プロジェクトから生まれたFastmicro社にて開発製造されています。
サンプルスキャナーは概ね0.5㎛~5㎛程度の表面付着パーティクルをカウントします。
パーティクル数を調べたい箇所に粘着性のサンプラーを貼り付け、直接採取します。
原理としてはミー散乱を応用しており、照射された光がパーティクルに衝突することで生じる散乱光を観測し、個数や大きさを割り出します。
サンプルスキャナーのほか、ウェーハ・ペリクル・レチクル・ディスプレイ用基板を直接測定できるプロダクトスキャナーも存在します。
パーティクルカウンター/サンプルスキャナー比較
目的
パーティクル低減・維持管理
測定対象
パーティクルカウンター | サンプルスキャナー | |
---|---|---|
空気中 | 〇 | × |
クリーンルーム内の壁面 | × | 〇 |
装置内壁 | × | 〇 |
搬送経路 | × | 〇 |
配管内壁 | × | 〇 |
バルブ表面 | × | 〇 |
ポンプ可動部 | × | 〇 |
パーティクルカウンターで測定できるのは浮遊塵のみであり、既に表面に堆積したパーティクルは測定できません。
サンプルスキャナーは空気中のパーティクル測定はできませんが、落下・堆積し表面に付着したパーティクルの測定が可能です。
従来は表面付着パーティクルの測定を行なうことは難しく、ウェーハ表面に落下したものを計測する高価な機器があるのみでした。
手頃な価格で導入できるサンプルスキャナーを、組み合わせて利用することを推奨いたします。