パーティクルやダストの洗浄と残渣管理の方法
半導体やMEMSなどの高い清浄度が求められる製造の現場において、パーティクルやダストといった微粒子の混入は歩留まりを引き起こす原因となります。
パーティクルやダストの混入を防ぐために、製造装置をあらゆる方法により洗浄し、それらの残渣を測定することで、製造現場の清浄度を確保します。
ここではパーティクルやダストを対象とした機器の洗浄方法とその残渣の測定方法について、最新のソリューションも併せてご紹介いたします。
洗浄方法
製造装置の洗浄方法は、機器の種類により様々ですがここでは代表的なものをいくつかご紹介いたします。
超音波洗浄
水や溶液などの液体に対象を浸し、液体を超音波により振動させることで洗浄します。
眼鏡や貴金属などの洗浄方法としても使用されていますが、産業用の精密機械などの洗浄方法にも活用されています。
スプレー洗浄
水や洗浄剤などをスプレーによって対象に吹き付けることで洗浄します。
対象の表面に付着したパーティクルやダストを洗浄するのに適しています。液体を霧化する圧力を調整することで様々な対象に使用することが可能です。
クリーニングローラー
粘着性のあるローラーが対象の表面を転がることで、付着したパーティクルやダストを除去します。
比較的平坦な対象の表面に付着したパーティクルやダストを取り除くのに適しています。
薬液洗浄
薬液を使用し、対象に付着したパーティクルやダストを化学反応によって除去する洗浄方法です。
複数の薬液を混ぜて使用することや、段階を分けて異なる薬液で複数回洗浄を行う事もあります。
ブラスト洗浄
ペレットや粒子を研磨剤として対象に吹き付け、その衝突によりパーティクルやダストを除去する洗浄方法です。
研磨剤にはドライアイスやガラス・樹脂などのペレットが使用されており、対象によって使い分けられます。
レーザー洗浄
レーザー光を対象に照射することで、パーティクルやダストを除去する洗浄方法です。
付着物がレーザー光によって蒸発し、その際の衝撃圧力で対象から切り離すことができます。
プラズマ洗浄
プラズマを対象に照射することで、パーティクルやダスト(有機物)を除去する洗浄方法です。
プラズマ中に発生する酸素ラジカルが、有機物の炭素原子と反応することで対象から切り離すことができます。
残渣管理方法
高い清浄度が求められる現場では、洗浄後にパーティクルやダストが正確に除去されているかを確かめる必要があります。
それらを測定する方法についてご紹介いたします。
SEM(走査電子顕微鏡)
SEM(走査電子顕微鏡)はナノメートル、マイクロメートル単位のパーティクルやダストを観察することが可能です。
しかしSEMの役割は気軽な計測ではなく、観察や分析に適しています。そのため残渣管理の方法として効率的に活用するには、別の技術と併用することが望ましいです。
表面検査装置(欠陥検査装置)
対象にレーザーを照射し、表面に付着したパーティクルやダストを計測する検査装置です。
半導体製造において、ウェーハ表面のパーティクルを観測するために用いられることがあります。そのため製造装置洗浄後の残渣管理として使用するには、対応できないものもあるかもしれません。
UV光源を用いた検査装置
こちらも表面検査装置同様に、半導体製造において用いられることがある検査装置です。
UV光源やDUV(深紫外線)等により、高性能な検査を可能にしていますが、高価であることも特徴です。
表面付着パーティクル測定装置
対象に付着したパーティクルやダストを、より手軽に時間を掛けずに測定できる装置です。
中でもFastmicroのサンプルスキャナーは、装置奥などの採取しにくい箇所や凹凸がある面など、従来の方法では困難だった対象の測定を可能にしています。
これまでご紹介した検査装置に比べコストメリットもあり、洗浄後の残渣管理として最適なソリューションといえます。