微小液滴をインクジェットで飛翔させると何が起こるのか?

インクジェットヘッドから吐出される微小な液滴は肉眼での視認は難しいほど小さく、かつ高速です。
昨今はインクジェット技術のアプリケーションも拡がり、従来分野である2Dプリンター以外の応用研究が隆盛です。

機能の乏しい古い観察装置では捉えきれない、把握したい情報が十分に得られないシーンも増えていると思われます。

ここでは、最新のトレンドに合わせて進化を続ける微小液滴の飛翔観察システムjetXpertを用いた観察例を元に、微小液滴が飛翔中に何が起こっているのかを解説していきます。

駆動波形の入力により微小液滴がノズルから吐出される

メニスカスが揺動し、ノズルから微小液滴が吐出されます。
インクジェットの液滴のサイズ、速度、サテライトの有無等の形状は、駆動波形によって変動します。

jetXpertは駆動波形のコントロールも楽に行えます。
入力値と結果を紐付けてデータで残せるため、試行錯誤がしやすい観測システムです。


ノズルから吐出する瞬間をjetXpertのノズルエグザミナーで真下から観察した写真

初滴が飛翔

液体の性質にも依りますが、ノズルから液体の成分が蒸発することで増粘が生じる、制止状態が続くと凝集する等の問題が生じる場合があります。そのため初滴の挙動を観察し、予備吐出やメンテナンスのタイミングを検討することは価値があります。

ノズル付近に異物の混入があったり、分散系インクの凝集が生じると、吐出角度が不安定になる/ノズル閉塞が生じる等のトラブルに繋がります。

着弾位置の精緻な制御が必要なアプリケーションは増えています。
jetXpertなら飛翔中の角度をチェック可能です。


jetXpertのレイテンシー機能で吐出タイミングを制御し、最初の1滴を観測した写真

液柱が伸び、サテライト滴が生じる(速度に依る)

ノズルから吐出される微小液滴ははじめから球形ではなく、先頭の球(主滴)から液柱が伸びたような形状で飛翔します。

速度にも依りますが、主滴の後に切り離された小さな液滴(サテライト滴)が生じます。
サテライト滴の速度は駆動波形によって代わり、主滴と合体することもあれば、分離したまま着弾することもあります。


jetXpertのスティッチ機能で1滴の変化を時間経過で追い1枚の画像に自動合成したもの

着弾

微小液滴が対象に着弾します。
着弾する地点は、飛翔角度により変わります。
着弾する際、吸水性・濡れ性が高い対象と、そうでない対象では挙動が大きく異なります。

プリンテッドエレクトロニクスなど、濡れ性が乏しい基板への着弾の場合は液体流動を考慮した対処が必要なため、着弾観測が役立ちます。

正確な着弾位置の制御をしたい場合は、カメラを複数台に増やし3次元で観測することも有効です。


jetXpertの着弾観察機能で透明なガラスやフィルムの上に着弾した様子を観察することが可能

ミストの発生

インクジェットヘッドから高速に吐出を続けることで、主滴・サテライト滴以外に、より細かなミストが生じます。

このミストには2つの課題があり対処が必要です。

  1. 人体への影響
  2. 出力への影響

特に研究開発時はヘッドを開放状態で用いる可能性が高く、安全のためにも観測と同時に吸引をすることをお勧めいたします。


ミストはjetXpertのバキュームインクコレクターを使用すると、飛翔に影響を与えず吸引可能です。

まとめ

ノズル表面(メニスカス)が動き、液滴が吐出され、柱状に伸びた液滴は着弾します。
ミストが発生する場合があり、使用する材料によっては特に注意が必要です。
出力結果は検証し、最適な条件出しを追求していきます。

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