OD錠の印刷用インクジェットの開発

近年、OD錠(口腔内崩壊錠)の印刷手法として、インクジェット技術が注目されています。
非接触で印刷できるインクジェットは、従来方式では困難だったOD錠への印字を可能にし、高い視認性の実現にも寄与する技術です。
本コラムでは、OD錠の印刷にインクジェットが注目されている背景と、インクジェット開発時のポイント、さらに研究開発を効率化するためのソリューションをご紹介します。
OD錠の印刷にインクジェットが注目されている理由
OD錠の印刷においてインクジェットが注目されている背景には、従来の印刷方式では解決が困難だった課題があります。
インクジェットがそれらの課題をどのようにクリアしているのか、ポイントごとにご紹介いたします。
非接触での印刷が可能
OD錠の印刷において最も大きな課題の一つが、錠剤への物理的な負荷です。
従来用いられてきた接触式の印刷方式には、転写ロール方式やパッド印刷方式などがありますが、いずれも印刷時に錠剤へ直接接触する構造となっています。
OD錠は強度が低いため、これらの方式では割れ・欠けが発生するリスクが高く、加えて錠剤表面から分離した粉体が印刷部に付着することで、連続印刷が不安定になるといった課題がありました。
こうした課題に対し、インクジェットは錠剤に触れることなく印刷できる「非接触方式」であるため、錠剤へのダメージを最小限に抑えながら印字を行うことができます。
その結果、従来は実質的に印刷が難しかったOD錠に対しても、安定した印字が可能となります。
接触式印刷で避けられなかった構造的な制約を乗り越えられる点が、インクジェットがOD錠の印刷手法として注目されている大きな理由の一つです。
視認性の向上を実現
OD錠への印字は、「どのように視認性を確保するか」という点も重要な検討ポイントとなります。
その手段として、印刷の他に刻印やレーザーマーキングといった方法も選択肢として挙げられます。
刻印は、錠剤表面に直接凹凸を形成する方法であり、インクを使用しないという特長があります。
一方で、文字サイズや記載できる情報量に制限があり、特にOD錠のように成形強度が低い錠剤では、十分な視認性を確保しにくい場合があります。
また刻印を深くすると、錠剤強度に影響を与えるリスクがあるため、注意が必要です。
レーザーマーキングは非接触で印字できる方式ですが、錠剤表面のコーティングを必要とし、色調や表現に制約が生じやすいという課題があります。
視認性の観点では、マーキングが単色に限定されるケースも多く、さらなる識別性向上が難しい場合があります。
これに対しインクジェット方式は、文字サイズや印刷位置、色表現を柔軟に設計できる点が大きな特長です。
刻印やレーザーでは制約となりやすい視認性の課題に対しても、設計の自由度を活かした対応が可能になります。
このようにOD錠への情報付与という観点からも、高い視認性を両立できるインクジェットは、実用性の高い印刷手法として注目されています。
製造プロセスを効率化
OD錠の印刷では、印字品質の他にも、製造プロセス全体の効率も重要な検討ポイントとなります。
特に印刷の仕様変更に伴う対応作業は、生産効率や設備稼働率につながる要素の一つです。
OD錠においては、印刷の実現性に加え、安定して量産工程に組み込めることも重要です。
インクジェット方式では、印字内容をデジタルデータで制御できるため刻印や印刷版の交換が不要で、表示内容の変更にも柔軟に対応できます。
これにより、仕様変更に伴う作業時間の短縮や作業負荷の低減が可能となり、製造プロセス全体の効率化につながります。
このように、その他の方式と比較して製造効率が高いという点も、インクジェットがOD錠の印刷手法として注目されている理由の一つです。
OD錠の印刷用インクジェット開発のポイント
OD錠の印刷に有効な手法として注目されるインクジェットですが、研究開発の際には接触式印刷とは異なる検討ポイントが存在します。
ここでは、OD錠向けインクジェット開発において押さえておきたい主なポイントを整理します。
飛翔するインクのコントロール
インクジェットは非接触印刷のため、「インクがどのように飛んで錠剤に届いているか」という点がポイントになります。
接触式印刷とは異なり、非接触式印刷のインクジェットでは「狙った方向に安定して液滴が飛んでいるか」を確認することが大切です。
研究開発においては、液滴の大きさや飛ぶ方向、ばらつきの有無といった点を観測しながら進めることで、印字結果との関係を把握しやすくなります。
連続印刷の安定性確保
インクジェット開発では、連続して印刷したときの状態を確認しておくことも重要です。
単発では問題なく見えても、印刷を続ける中でインクの出方や印字状態が変化することがあります。
研究開発の段階では、一定時間印刷を続けながら液滴の吐出状態や印字のばらつきに変化がないかを確認し、安定して印刷できる条件を見つけていきます。
最適な設定の確立
インクジェット印刷では、インクの他にも使用するヘッドや駆動条件によって、印字の状態が変わります。
例えば、ヘッドの種類や駆動条件(電圧・パルス)の組み合わせによって、吐出されるインクの量や飛び方、印刷の安定性などに違いが出ます。
研究開発では、インク、ヘッド、駆動条件などの設定を一つずつ調整しながら試していくことで、「このインクを使用して、このヘッドで、この条件なら安定して印字できる」といった関係性が見えてきます。
インクジェットの研究開発用ソリューションを活用
上記のようなインクジェット研究開発における各ポイントは、専用のソリューションを活用することで一段と検討しやすくなります。
例えば、研究開発用の塗布装置として「カスタムプリンター」を活用することで、OD錠への印字を想定した条件検討を効率的に行えるようになります。
インクやヘッド、駆動条件を変えながら印字結果を確認できるため、開発の初期段階でも「実行・評価・改善」のサイクルをより早く回すことができます。
お勧めのカスタムプリンター
インクジェット研究開発に最適な汎用の塗布装置です。
プロトタイプやパイロット機として、インクジェット技術を扱う世界中の企業や研究機関で採用されています。
また、インクジェット特有のポイントである液滴の飛翔状態を確認したい場合には、「ドロップウォッチャー」が有効です。
液滴の大きさや飛ぶ方向、ばらつきの有無などを観測できるため、印字結果とあわせて確認することで、条件検討の方向性がより明確になります。
お勧めのドロップウォッチャー
インクジェットの研究開発におけるデファクトスタンダードの観測システムです。
国内外の多数のインクジェット研究で採用されています。
OD錠の印刷用インクジェット開発は、印字検証と液滴観測を組み合わせることで、よりスムーズに進めることができます。
弊社ではインクジェット開発のためのソリューションを、研究開発の目的や検討フェーズに合わせてご提案可能です。
OD錠印刷に向けたインクジェット開発をご検討中の方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。








