はじめてのインクジェット技術開発、最初の1歩
~インクジェットでの技術開発に必要なこと/もの~

インクジェット技術を活用することで、入力したデジタルデータを元に高速な描画や塗布が実現可能です。
その緻密な液滴コントロールの特性から、プリンター開発のほか様々な分野でのものづくりに取り組まれる企業が増えています。

では、自社でインクジェットの技術開発をスタートする際に、まず何から始めるべきでしょうか?
そこで、はじめてインクジェット技術開発に挑戦する方に向けて、必要な知識やものについて解説します。

インクジェット技術の全体像

まずはインクジェット技術の全体像及び、開発において必要な構成要素を解説します。

インクジェット技術の種類

インクジェット技術の種類を大きく分けると、液滴を連続して生成するコンティニュアス型と、電気信号に応じて液滴を生成するドロップオンデマンド型があります。

ドロップオンデマンド型の中には、バルブの開閉で圧力をかけるバルブ方式、加熱して気泡を発生させるサーマル(バブル)方式、ピエゾ素子の体積変化を利用するピエゾ方式があります。

現在ではオンデマンド型のピエゾ方式が一般的に用いられています。

ピエゾ方式は熱による負荷がないため使用できる材料の幅が広く、ヘッドの耐久性も高いという特徴があります。
それらの特徴から、印刷以外にも様々なアプリケーションで活用されています。

インクジェットでの技術開発に必要な構成要素

インクジェットを用いた技術開発を始めるための最小構成として、次のものが必要です。

  • インクジェットヘッド
  • インクなどの液体材料
  • 駆動基盤
  • 統合して操作するためのコンピューター(開発段階では一般的なパソコンで問題ありません。)
  • 観測システム

まずはこれらが必要です。

インクジェット研究に必要なもの

インクジェットヘッド

インクジェットヘッドとは、インクなどの液体を微小な液滴として吐出する機器です。
インクジェットによる技術開発において、インクジェットヘッドの制御が大きなテーマになります。

インクジェットヘッドはメーカーや製品ごとに特長が異なります。用途に合わせて適切に選定する必要があります。

ヘッドの適切な選定は、情報が無ければ難しい

弊社はインクジェット研究に必須である観測システムのトップベンダーという性質から、過去の様々な事例や各目的・用途に適したヘッドの情報を有しています。

各ヘッドメーカー様に1社1社あたってご自身で検討するのは大変です。
弊社は国内のインクジェット研究が中立の立場から、これまでの知見を活かしたご案内・ご提案が可能です。
研究開発を検討される方は、お気軽にお問い合わせください。インクジェット研究をはじめる上で御社が必要なことをご案内いたします。

インクや薬液などの吐出材料

インクジェットで使用できる液体には、次のようなものがあります。

  • 水性インク
  • 溶剤インク
  • UVインク
  • ラテックスインク
  • コーティング剤
  • UV硬化樹脂
  • 金属インク
  • 前処理剤(インクが印刷面に密着するのを助ける液体)
  • 細胞(細胞をインクジェットヘッドで吐出するバイオ3Dプリンター)
  • ほか、様々なアプリケーション向けの独自開発材料

ただし、ヘッドによっては使用できない液体もあります。
使用したい液体にヘッドが対応しているか、選定時に注意が必要です。

オリジナルの吐出材料を使うときの注意

液体材料は用途によって適切なものを選定します。
また、使用する液体材料とヘッドの相性にも注意が必要です。

既にヘッドとの相性が確認されているインクを使う場合は問題になりませんが、オリジナルの吐出材料を使うときはヘッドとの相性を確認しましょう。

ヘッドに液体を注入した際、ヘッド内の材質がダメージを受ける可能性があります。
こうした液体材料とヘッドの相性を評価するには、各ヘッドメーカーが提供するマテリアルコンパビリティー(材料適合性)キットを使用します。

駆動基板

インクジェットヘッドは単体では動かず、駆動させるための基盤が必要です。
コンピュータとヘッドを駆動基板を通して接続し、制御します。

尚、ヘッドが異なれば駆動基板も異なります。

操作用のコンピューター

ヘッドや駆動基盤を統合して操作するためには、コンピューターが必要です。
開発段階であれば、一般的なパソコンで問題ありません。

ワーク(吐出を受ける対象物)

材質、表面、表面処理・薬剤の有無などを考慮し、開発の用途に合わせて適切なものを使用します。

観測システム

インクジェットは1ピコリットル(0.000000000001L)サイズの微少液滴を個々に吐出し制御する精密な技術です。
求める結果を安定して得るには、ノズル毎の不吐出、バラつき、飛翔時の速度、飛翔角度のずれ、着弾時の跳ね・にじみ等を観測し、最適化のための試行錯誤が必要です。

液滴は微少なため肉眼では判定できず、トラブルシューティングが困難です。

そのため、基本的に必須ものとして、液滴飛翔観測システム(ドロップウォッチャー)の使用をお勧めします。
ヘッドから吐出する液滴を観測し、液滴の体積や速度などを調べることができます。

お勧めの観測システム JetXpert

インクジェットの研究開発におけるデファクトスタンダードの観測システムであり、国内外の多数のインクジェット研究で用いられています。
液滴の吐出を観測し最適化することで、インクジェット技術開発を効率化できます。あらゆるヘッドに対応し、すぐに観察環境が整います。

研究開発の開始は、観測システムの導入で始動できますが、印字物の観察も含め、より製品に近い評価を行なうためにはプリンターが必要です。

主要ヘッドメーカーに対応
R&Dでプリンターの機能を使いたいなら

液滴観測と一体型のプリンターです。
観測で使用したヘッド、波形、インクをそのまま印字へ移行できます。

インクジェットの研究開発をはじめたい、インクジェットでものづくりをはじめたい、という方は、インクジェットの基礎からかみ砕いてご説明可能です。お気軽にお問い合わせください。

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